
熱狂!!台湾ハーリーズー
筆者:
大沢南
COMPUTEX TAIPEI 2000に出張したついでに色々買い物をしました。
台湾は日本ブーム、台湾人の海外旅行第1位は日本。
3日滞在しただけでもわかるその熱狂ぶりを報告します
●そこらじゅうにキティちゃん
「日本びいきのヤング」を指すことば「哈日族」(ハーリーズーと発音するらしい)ができるほどの日本ブームという台湾。
とくにサンリオの「キティ」は、昨年マクドナルドがキティイセット売り出した時には、朝一で売り切れるため、徹夜の行列ができたほどで、台北市内、町中のあちこちで見かける。

キティちゃんラーメンはもちろんのこと、キティちゃんタクシーまである。
タクシーの屋根で光るマークがキティ。
台湾でもポピュラーなカラオケボックス。入り口では、キティの垂れ幕がお迎えだ。

町を歩けば、なんとキティは飲酒運転追放キャンペーンまでやっている。

『飲んだら乗るな、乗るなら飲むな』
って、標語まで日本のパクリ?
キティの守備範囲は広い。
国父紀年館の土産物売場には、3品50元、みたいな、日本の百円ショップみたいな出店があり、そこにもキティは生息していた。(1元=3.7円)
もちろん非ライセンス商品だが、

キティの塗り絵、スクラップブック、星占い付き下敷きなどなどなど。
昨年行われた台湾の総裁選でも、だれがキティの使用権を得るかで争奪戦があったといわれている。猫はさすがに政治参加まではしなかったようだが。
●日本の悪書も続々翻訳
『本当は恐ろしいグリム童話』などの日本の悪書も翻訳され、これなどは続編まで出て、ベストセラーになっている。
もちろん日本のマンガは、台湾のマンガ喫茶を詰め尽くすまで翻訳出版されているが、派生本も訳されている。

『男と女成功方程式』特価99元
課長島耕作をネタにしたビジネス本で、日本ではブックオフで百円で買える。赤い『限』の字は、成人向けというマークだ。台湾でも悪書であるという認識はあるようで、また、悪書とした方が売れるのであろう。
日本にこんなサラリーマンはいないってのに。
ただ、日本の有名トンデモ本も訳されていないかと探したのだが、
『ノストラダム』本も、
『ユダヤの陰謀』本も、
『発情期ブルマ検査』
などは見つからなかった。
●子どものころから日本通に
CD天国

台湾ではCS放送で常に日本のテレビドラマ、アニメが放送されている。以前は日本のテレビ番組はビデオCDなどで供給されていたが、CSで量もスピードも増えたようだ。アニメの音楽CDも多数売られている。日本語のオリジナル版やオムニバス版など、1枚120元。会員になると100元。
『最新アニメ歌曲精選』というオムニバスシリーズは、日本の最新アニメ、声優CD、特撮から曲を集め、1枚に16〜17曲のてんこ盛りで、年4〜5枚リリースされている。
これ、日本で買うより安くて便利なのだ。
未来戦隊タイムレンジャーと仮面ライダークウガのオープニング、エンディング計4曲も1枚に収まっている盤があり、即ゲット。
ラベル面もカラー印刷できれいだ。
し
塗り絵も日本風

機動戦士塗り絵は、もちろんガンダムもどきの稚拙な線画の寄せ集めである。ほかにも、少女編、少年編、RPG編があり、日本のマンガの味付けである。こうして、子どもの頃から日本の絵と音に馴染まされていくのである。
もっとも、塗り絵には、あまり馴染んでほしくない低品質のものもあるが。
●日本攻略本
そんなあこがれの日本に案内するガイドブックも多数出版されている。
『MegaTokyo 完全攻略』
は東京観光案内。東京ディズニーランド、お台場はもちろんだが、「書籍・雑誌・漫画」コーナーでは、神田古書店街の地図や、書泉グランデ、渋谷の東急文化会館のコミックステーションなどの書店を紹介している。
だから、それらの書店で、ガイドブック首っ引きで、しかし日本語を話さない人たちを見かけたら、優しく案内してあげて、
「これが今、日本のナウなヤングにバカウケ」
といって「トンデモ本の世界」やその対象本、トンデモ系漫画などを紹介してあげましょう。
この本では、秋葉原については電気街としての紹介記事しかないので、できれば秋葉原の同人誌ショップなども紹介してあげましょう。きっと感謝されます。
ともあれこの本は日本でも役に立つし、台湾人の出没する場所もわかる。新宿の繁華街を歩いていると、ふと気がつくと、まわりで日本語話している人の方が少ないものな。日本語に不自由な日本人も混じっているようだけど。
台湾国内向けには、角川書店提携の『台湾Walker』が売られているけれど、これは台湾国内の観光案内を台湾語で書いてあるものなので、買っても日本人には役に立たず、買わなかった。
●日本語学習教材
そんなあこがれの日本に近づくには、やはり日本語の勉強をしなくてはいけません。
日本語教材も多数売られています。
おなじ出版社から2種類の月刊誌が発売されている。

基礎日語「跟我學日語」2000/6(左図に表紙)
サブタイトル「いきいきにほんご」
月刊・語橋文化事業有限公司
実用日語「日語通」2000/6
サブタイトル「ぺらぺらにほんご」
月刊・語橋文化事業有限公司
どちらも64ページ程度の薄い雑誌で、本だけ、カセット付き、CD付きで、130元、250元、270元と値段が上がっていく。
「跟我學日語」はカセット付きを購入、さっそく聞いてみる。

カバーストーリーは『わたし、きれいにな〜れ』で、
ホワイトニングエッセンス、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション・・・・と、男性アナウンサが黙々と化粧品の名前を読み上げる。日本で化粧品を買うための予習なのだろうけれど、せめて女性アナウンサを使えばいいのに。
文法教室が『この 車 かわいいですね』
車を「かわいい」と表現することは文法的に合っているらしい。
『毎月一曲』コーナーは、アニメ『スレイヤーズ』の”Get along”である。林原めぐみに関する詳細情報もあって、とても親切だ。
歌も、ちゃんとカセットにオリジナル版が収録されていた。
巻末は単語カード、切り抜いてリングに止めるなつかしいもの。もちろん化粧品名も収録されている。

「日語通」
こちらは実用日語というだけあって、具体的な局面で解説している。目次から拾うと、
日式工作禮儀『名刺交換のノウハウ』
日本人的幽黙『目がハートになる』
料理記事『きょうはオムライスを食べよう!』
びっくり歴史教室『江戸城前、白昼のテロ』
新聞剪影『不況知らずの若者ファッション』
などなど。
『目が〜』は、大学のコンパで女の子同士の内輪の会話、
「ちょっと佳奈、右から2番目の彼、かなりイケてない?」
「真緒、目がハートになってる・・・」
とマンガ付きの会話例。
ハートの目という日本的マンガ表現はここに国際的に定着した???

『不況知らず〜』は、茶髪、厚底靴、ガングロでにぎわう渋谷109を取り上げた新聞記事をネタに、
またまた女の子同士の内輪の会話、OL編。役名にも注目。
り え「社長、不況打開のカギは若者文化を知ることだと
か言って、茶髪、ガングロにして、スーツに厚底
靴はいてんだよ」
保奈美「うわ、いっちゃってる」
さすが、実用日語は例文もいっちゃってる。
「新新人類流行日語」
サブタイトル「日本語でラブラブ/哈日族超有効學習大法」
三思堂

最新流行日本語解説本である。
台湾国際空港、帰国便に乗る間際にゲット。勝負はゲタを履くまでわからないとはこのこと。本当に、最新日本語満載である。
なにしろ第一課の最初の会話が「動物占い」なのだ。
第二課は電子寵物としてファービーやアイボの話題。
以下、キックボード、ケイタイ、プリクラ、カリスマ・・・
カリスマの例文は
「今、日本は世界一カリスマの多い国ですね」
そして、ガングロ、ヤマンバ、モーニング娘。、エステ、マツキヨ、マルキュー(渋谷109)、プレステ2、口服(口経)避妊薬など。
避妊薬の会話例二は
彼と、エッチとかすることある?
うん、たまに
避妊してる?
彼が、めんどくさいって。
じぁあ、ピルを使えば?
そうしようかな
そうしてください。
さらに、年軽人用語、というコラムで日本若者用語解説があり、
・・・とか(ぁ) → 没有意志
超SW → 性格超級悪劣
Vゴール → 従搭諭成功至上床
エロビ → 成人録影帯
目が十字架になる → 眼晴有閃爍的光芒
ヤリコン → 以上床為目的聚餐
などなど。JIS漢字にないので紹介できない台湾訳もあるが、とにかく日本人も滅多に使わない、あるいは忘れ去った用語もここに固定されている。
あいまいな口語表現、性的隠語、マンガ的表現、特に目に関する表現など、みなこれ日本人とおつきあいするのに知らないといけないことなのね。
この手のお手軽会話学習本のシメは、「出会い・セックス・妊娠・別れ」とういのが相場だが、この本はあくまで好日的なので、台湾からきた女性が日本の男に遊ばれて捨てられて、といったシチュエーション、例えば
この子はあなたの子です
ちがう、ほかの誰かの子どもだろう
6週間目だから、父親はあなたに間違いない
みたいな例文は出てこない。
ただ、別れの場面はちゃんと用意してあり、
もうだめですか?私たち?
ええ
やり直せませんか?
無理でしょう
私のことはもうどうでもいいと言うんですか?
あなたのことをもう愛していないのです。
貴の花みたいないいわけする奴だ。
さらにいいわけするための例文は、
ほかに好きな人ができたのね
もっと夢のある人と結婚したいの
別れてもお互いに幸せになろうね。
など各種ご用意してあります。この本の対象年齢が低いのか、まだせっぱ詰まってない。人生やり直せるということか。
ここでの年軽人用語コラムは、
つぼる → 失意
キレる → 失去理性
じぞる → 緊張得説不出話来
ボンバッてる → 爆発的 過度激烈的
一方、仲直りの会話では、
仲直りしましょう。
お互いに悪いところがあったわね。
というのもある。お金を払うところまではいってない。
ということで、台湾から着た女性とおつきあいするときには参考としてください。
●台湾熱狂の人形劇

以上、台湾の日本熱をレポートいたしました。
さて、私は台北の第一飯店に泊まったのだが、部屋のテレビは40チャンネル以上入り、NHK総合もそのまま。1時間の時差があるとはいえ、なんだか日本にいるのと変わらない感覚。
そんななかで、PILI SATELLITE TELEVISION(霹靂電視台)
が放映している、パペットの時代劇に目が止まる。
TIME for Studentsという英語学習雑誌の表紙にもなっているこの「霹靂布袋戯」は、人形の動きがとにかく派手。
戦闘場面では稚拙なビデオ合成で光線を撃ち合い、爆発、人形が
画面の中で飛んだりはねたりブッ飛んだりする。そのうえ血飛沫まで飛び、人形が赤く染まるのだ。

走る場面、パペットには普通足がなく、そのため地面を踏む描写は普通出来ないのだが、なんと「電子戦隊デンジマン」のテーマ曲が流れるなかで、高速に背景、前景を流すことでスピード感を出している。
オリジナルの「電子戦隊デンジマン」のオープニングでも強烈な「走り」のシーンが記憶に残るが、それ以上の迫力。
この人形劇は、中国の京劇の飛び跳ねのアクション、香港映画のワイヤーワーク、日本のアニメや特撮の映像表現をいいとこ取りして作られている。
とにかく、ストーリーはわからなくても見ていてハマル。
全編アクションシーン、セリフをじっくり聞かせるシーンはない。
熱狂ぶりは、中国信託のクレジットカードにキャラクターが使われたりしていることでもわかる。全土熱狂なのだ。
日本のチャンネルも、ぜひ買い付けて放送してほしい。NHK教育さん、お願い。
2000年の東京ファンタスティック映画祭で上映されたときは、コスプレも出て、2001年春には一般公開すると、バンダイの担当者が言っていたのに、ぜんぜんその兆候がない。バンダイとしてはガンダムとか、ほかにリソースを割かないといけないのはわかるが、なんとかしてくれ。
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